理事長「歳時記」2020年秋

2020 年 10 月 31 日

今年は台風の上陸がありません。気象庁では九州・四国・本州・北海道の上に来た時を「台風上陸」と定義しています。台風の上陸がなかった要因の一つは、台風発生の位置が平年に比べて西寄りだったため、中国大陸や東シナ海へと進みました。西寄りになったのは、ラニーニャ現象とインド洋東部の海面水温が高かったためと見られます。

しかし新型コロナウイルスは、国内侵入から9カ月になっても収束の気配はありません。一方で、新型コロナウイルス感染の重症化リスクがわかってきました。予防はマスク着用、手洗い、3密を避けることです。感染拡大を抑えるには、クラスター対策が重要となります。感染症は微生物の病原因子、宿主の要因、環境要因を解明できれば良いのですが・・・。

明治時代の俳句の中にも、伝染病を題材としたものは多くありました。1896(明治29)年秋、俳句の名人正岡子規が詠んだ句を紹介します。

〇痢病ありて會議催す柿の村

(りびょうありて かいぎもよほす かきのむら)

柿好きな子規が、原因不明の伝染病(感染症)を解決しようとする村の様子を詠んだものでした。当時「痢病」は年間9万人の患者が発生し、2万人が亡くなっていました。

1897年(明治30年12月)、細菌学者の志賀潔によって赤痢菌が発見され、病名も「赤痢」と名付けられました。国内での流行もすさまじいものだったと考えられます。この俳句から、対峙する短歌を創作してみました。

〇コロナ禍の会議催す永田町クラスターあらば先見ゆるかな

(ころなかの かいぎもよおす ながたちょう くらすたーあらば さきみゆるかな)

2020(令和2)年10月

一幡 良利

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