理事長「歳時記」2021年夏

2021 年 07 月 30 日

二年前の夏の日の旅での想い出・・・ 。名のある城でのことでした。石段を一生懸命に登っている人の姿のように見える「エノキ」の根っこに出会いました。コロナ禍が一段落したら、何事にも動じないで生きている根っこの姿を、もう一度見たいものです。自然の生命力に勇気づけられます。

今年の夏も猛暑の日々が続いています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、変異株の出現により感染拡大が止まりません。高齢者のワクチン接種が進んだことがせめてもの救いです。早急にワクチン接種が若年令層まで行きわたらないと、収束の道はないでしょう。

緊急事態宣言発令の中、感染症の脅威とは無縁のように東京オリンピックは開催されています。本来ならば心から楽しめたものです。パラリンピックも開催予定です。不要不急の外出自粛の呼びかけだけでは、収まらないのが感染症のパンデミックです。

夏の季語の「土用灸」を取り入れた飯田蛇笏(いいだ だこつ)が詠んだ俳句が脳裏に浮かびました。氏は高濱虚子の指導下で学んだ人です。随所に正岡子規、虚子の流れが読み取れます。

○いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸

(いかなこと どうぜぬばばや どようきゅう)

どんなことがあっても、動じない経験豊かなおばあさんが夏の土用の日に据えてくれるお灸は、消耗している体力を回復するには必要だったのでしょう。家族の健康のために、真摯に取り組んでくれている映像が浮かびます。子規が花見に行くために据える二日灸の時に、いつも婆々様を思い出すと詠んだ句を連想しました。さすが孫弟子です。

説得力のある言葉と何事にもぶれない人がいると、みんなの安心・安全を守ってくれます。

新型コロナウイルス感染症の収束が見えない今、対峙する短歌を創作してみました。

〇ウイルスの動きを探る水際に動ぜぬ婆々の動きがあれば

(ういるすの うごきをさぐる みずぎわに どうぜぬばばの うごきがあれば)

 

2021(令和3)年7月

一幡 良利

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