理事長「歳時記」2022年秋

2022 年 10 月 30 日

秋は過ごしやすく、久しぶりにイベントや紅葉狩りに行くのにも良い季節です。但し、新型コロナウイルス感染予防対策を忘れないでお出かけください。

近頃は家の周りでも、コスモスの花を楽しめるところが結構あるものです。

地名を取り入れた俳句を得意とした森 澄雄(1919-2010)が、秋晴れの良き日に詠んだ句を紹介します。

氏は76歳の時、脳溢血で倒れ、左半身に麻痺が残り会話も不自由になりました。滞在先の琵琶湖畔から伊吹山(いぶきやま)を仰ぎ、お灸の艾(もぐさ)と結び付けたものでした。清く澄んだ景色の中に、灸施術で病を克服しようとする願いが出ています。

○秋澄むや湖のひがしにもぐさ山

(あきすむや うみのひがしに もぐさやま)

滋賀県には、日本最大の面積と貯水量を持つ琵琶湖、県最高峰(標高1377m)の伊吹山があります。小倉百人一首にも「伊吹山」「もぐさ」を取り入れた歌が収められていました。

古くから、伊吹山は薬草の宝庫で、中でもヨモギの葉の裏にある繊毛を精製した「もぐさ」の産地として知られていました。

東海道新幹線の車窓からも伊吹山は良く見えます。機会があれば澄んだ日に訪れてみたい山ですが、楽しみは残しておきます。対峙する短歌を創作してみました。

○秋澄むや落ちるもみじ葉風に舞う邪気遠ざけて心さやけさ

(あきすむや おちるもみじば かぜにまう じゃきとおざけて こころさやけさ)

 

2022(令和4)年10月

一幡 良利(いちまん よしとし)

現在位置:ホーム > ブログ > 理事長「歳時記」2022年秋

このページの先頭へ