理事長「歳時記」2025年冬
2025 年 01 月 31 日
今年の正月は、比較的穏やかな新年を迎えることができました。
能登半島地震から1年の時が流れました。人々の支援の輪はひろがり、
復旧が徐々に進んできていますが、肝心な政策の実行が遅いのが気にかかります。
被災地の一日でも早い復旧をお祈り申し上げます。
今年は巳年です。「過去の失敗も新たな成長へと変える絶好の年」と言われます。
俳句の世界では、春の季語として使われている二日灸(旧暦2月2日)は、
新暦では3月1日にあたります。
江戸時代の俳人小林一茶(1763-1828)が1819年2月に詠んだ句を紹介します。
一茶の句はユーモアに富んだ句が多く、暗い世の中を明るくしてくれるようです。
◎かくれ家や猫にもすへる二日灸
江戸時代は、この時期にお灸をして春先の農作業の始まりに、
体調を整える準備をしていました。
お灸好きな一茶は、自分だけでなく、かわいがっているネコにもお灸をすえる
というものです。ネコ好きの彼しか詠えません。
でもネコは黙ってお灸をすえさせてくれるでしょうか。
出来ないことは、誰でもわかります。
ここに一茶独特の表現法があるように見えます。
春を迎える準備の句としては、明るい笑顔を取り戻せる未来を予測できます。
能登の皆様も笑顔が戻り、一日でも早く元通りの生活をされるように、
願っております。対峙する短歌を作ってみました。
◎重箱の能登食材は笑みになる栗きんとんに箸すすみたり
2025(令和7)年1月
一幡 良利(いちまん よしとし)