理事長「歳時記」2025年夏
2025 年 07 月 31 日
今年の猛暑の原因は地球温暖化だけでなく、都市部でのヒートアイランド現象、
太平洋高気圧の張り出しによることも影響しているようです。
国内では「地球温暖化」を分析し、数値化する試みが出てきています。
米国の研究グループは、日々の気温への温暖化の影響を示す色分け地図を
公表しています。地球温暖化を実測することで、他の影響のかかわりを
知ることになります。これだけ暑いと電力エネルギーの足しにでも・・・。
正岡子規(1867-1902)が明治28年(1895)に按摩と夏の季語の蝙蝠(コウモリ)
を詠んだ俳句がありました。
コウモリは哺乳動物で、蚊食鳥(カクイドリ)とも呼ばれています。
環境破壊と住む場所が無くなり生息数が減少したのでしょうか。
中国では、「蝠」の字が「福」に通ずることから、古くから幸福を招く
縁起物とされています。百年以上生きたネズミがコウモリになるという
伝説もあり、長寿のシンボルとされています。
偉大なる学者のシートンが進化の最高傑作とまで言ったコウモリを、
絶滅危惧種にしてはなりません。
◎蝙蝠や按摩の鼻を去る一寸
この句のように按摩は疲れた体の回復に役立ち、コウモリが手の届くくらい
身近にいたことが良くわかります。明治中期頃までは、縁起の良い動物と
されていましたが、人獣共通感染症の原因となる報告が出てきてからは、
嫌われ動物になったようです。対峙する短歌を作ってみました。
◎夏の宵思い巡らす按摩かな懐かしきことよみがえるなり

2025(令和7)年7月
一幡 良利(いちまん よしとし)
