理事長「歳時記」2022年冬

2022 年 01 月 30 日

新年の1月6日は東京近郊では昼過ぎから降りはじめた雪が、夕方には10㎝の積雪になりました。都会では少しの積雪でも交通機関は乱れてしまうので、帰宅時間を早めた職場もみられました。こんな中でも子供たちは、雪と触れ合う機会が少し与えられたようでした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、国内で感染者が確認されてから、1月15日で丸2年となりました。累計感染者数は、オミクロン株の感染急拡大で1月下旬には260万人となり、死亡者数は1万8千人を超えてしまいました。収束する気配は、今のところ見られません。早期に3回目のワクチン接種することと、しばらくは感染対策を忘れないことです。

俳句の世界でも昔から感染対策の1つのマスクは、季語としても使われていました。多くの句の中から、高濱虚子が詠んだものを紹介します。1937(昭和12)年1月、弟子の送別会が東京・向島で開催されたときに詠まれたものでした。当時から多くの人の集まる場所では、マスクを着けて感染対策をしていた様子が伺えました。この年は、旧保健所法が制定された年でした。翌年は現在の厚生労働省の前身の厚生省が設置され、公衆衛生行政の体制が整備されはじめた頃でした。昔から、マスク着用が習慣づけられていたのが、何故か良かったです。

〇マスクして我と汝でありしかな

(ますくして われとなんじで ありしかな)

マスクを着けての感染対策と顔の半分が隠れても、個人個人はしっかり認識され上下関係の厳しい世界であることが良くわかりました。対峙する短歌を作ってみました。

 

〇粒雪とコロナ粒子が降りしきるマスクを着けて収まるを待つ

(つぶゆきと ころなりゅうしが ふりしきる ますくをつけて おさまるをまつ)

 

2022(令和4)年1月

一幡 良利

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