理事長「歳時記」2022年春

2022 年 04 月 30 日

今年の東京の桜は例年よりも早く開花しました。満開の桜は礼儀正しくおじぎをしてくれているので、見上げると美しさのすべてが見られます。一方で空に向かって大きく開くハナミズキ(花水木)も、あっという間に咲いてしまいました。米国のワシントンへ贈られた桜の木との交換で100年前に日本に入ってきました。今では、街路樹や庭木としてすっかり定着しました。まだ馴染みがなかったころ、米国映画の「風と共に去りぬ」の冒頭で映し出されたハナミズキにはより感動したものでした。南部ジョージア州、アトランタが舞台でした。花の色は白、ピンク、赤色があり、苞と呼ばれる葉が色づいたものですが、美しさは桜にまけてはいません。ドライブの車窓から楽しむのも良いものですが、身近に観察しても興味深いでしょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大から3回目の春です。

アトランタには疾病対策予防センター(CDC)があり、全米だけでなく海外との感染症対策の重要拠点となっています。すぐそばにはエモリ―大学があり、新型コロナウイルス感染症の治療薬の研究拠点となっています。今年は、市の花に指定されているハナミズキの開花を少しは楽しまれたことでしょう。

俳句の世界でも古くから花見に行く前に、お灸をして体調を整える習慣を詠んだ句が多くありました。正岡子規が1895(明治28)年に詠んだ興味深い句を紹介します。

○無病なる人のいたがる二日灸

(むびょうなる ひとのいたがる ふつかきゅう)

健康な人は、旧暦2月2日に据えるお灸を痛がるようです。医者にかかることもないので、お灸を怖がるというものです。子規は病弱であったために、病気を治すためには、痛さも我慢できると言っている。現在のワクチン接種と置き換えるのは適切でないかもしれませんが、対峙する短歌を創作してみました。

○一病に息災与ふ二日灸目閉じ三度のワクチン接種

(いちびょうに そくさいあたふ ふつかきゅう めとじさんどの わくちんせっしゅ)

2022(令和4)年4月

一幡 良利

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