日本児童教育振興財団助成事業(R1)『引き継がれる夢 点字新聞「あけぼの」―左近允孝之進と妻・増江』

2019 年 07 月 15 日

今から114年前の1905年、日本初の点字新聞「あけぼの」が発行されました。

これは情報を得にくい環境にあった当時の視覚障害者にとって、革命的な出来事だったといえます。

この「あけぼの」の誕生までには、ある夫婦の血のにじむような努力がありました。

その夫婦の名は、左近允孝之進と増江。

表紙画像:引き継がれる夢 点字新聞「あけぼの」

孝之進は鹿児島に生まれ、幼いころから成績優秀で、東京専門学校(現・早稲田大学)に入学しますが、わずか5ヶ月で除籍。日清戦争での従軍を経て、鹿児島で焼酎の販売業をしていた26歳のとき、白内障により失明しました。失明後は鍼灸あんま師として働いていた孝之進でしたが、「盲人も学問を身につけて、対等に生きていける時代を切り開かなければならない」という盲教育への情熱を胸に、神戸訓盲院と点字出版所六光社を設立、点字新聞「あけぼの」の発行を果たします。妻の増江は、孝之進が働いていた酒屋の娘で、盲教育への思いを語る彼の姿に惹かれ、周囲の反対を押し切り孝之進と生きていくことを決意。二人は生活に困窮するような状況の中、点字本の出版を目指して幾度もの失敗をくり返しながらも点字活版印刷機の開発に尽力し、当時外国にしかなかった、点字を大量に打ち出すことのできる印刷機を完成させました。

この絵本では、そんな左近允孝之進と妻・増江の生涯を絵と文章で描きます。巻末に本文が英訳されておりますので英語の学習にも役立ちます。この絵本を通して一人でも多くの方に左近允孝之進と増江の功績を知っていただけることを願います。

また、視覚に障害のある方には、付録として日本語と英語の収録された音声CDが付きます。

文:タケシタナカ

絵:吉澤みか

英訳:ノビ・キーリ

監修:桜雲会

定価:¥2,500

発行日:2019年1月15日

☆ブックケースに入った日本語と英語の収録されたCDは¥2,500

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