理事長「歳時記」2020年春
2020 年 05 月 24 日
2020年4月
幼子も、庭先で桜の花びらを手掌にのせて楽しむだけの春でした。来年は野外で桜、ハナミズキ、ツツジの花々を自由に満喫したいものです。
新型コロナウイルスは、最悪のシナリオのように、あっという間に人々の生活の中に入ってしまいました。
世界的規模でのコロナウイルス感染症は2002年のSARS、2012年のMERSがありましたが、幸いにも国内への侵入はなかったです。これらのウイルスは、症状が出てからウイルスの排出が起こるので、症状の出た人だけを隔離することにより、感染阻止することができたのです。
しかし、新型コロナウイルスは、無症状の人や発病前の軽症感染者からも大量にウイルスが排出されるので、多くの感染者が出てしまいます。感染者の中には、重篤な症例や死亡例も見られます。たちの悪い厄介なウイルスなので、自然界から簡単には消えないでしょう。
未だワクチンも特効薬もありません。人類は英知を結集して立ち向かうしかないのです。
俳句の世界でも、古くは伝染病と言われた頃に詠まれた多くの句が歴史を物語っています。大正から昭和にかけて俳諧を背負った高濱虚子の詠った句は、当時流行していた天然痘を題材にしたものでした。
〇種痘する村のいつもの老医かな
(しゅとうする むらのいつもの ろういかな)
感染症のなかで、地球上から唯一根絶(撲滅)できたのが天然痘です。それは「種痘」ワクチンの普及が世界を救ったのでした。ベテランの「いつもの老医」に命を託すのは、現在の感染症医療体制と同じです。医療現場の方々に感謝し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も、やがてはワクチン接種で制圧できる日が来るでしょう。願望を詠んでみました。
〇身近にもコロナウイルス潜むなり防ぐ手立てのワクチンを待つ
(みぢかにも ころなういるす ひそむなり ふせぐてだての わくちんをまつ)
2020(令和2)年4月
一幡 良利