理事長「歳時記」2023年秋

2023 年 10 月 30 日

猛暑・酷暑・極暑と言われた夏の日から、ようやく秋の気配を感じる季節に入り、何となくほっとして爽やかな気分になりました。

気象庁では最高気温が35℃以上の日を猛暑日としています。

今年、猛暑の日数が過去最多を更新した中で、東京都心は22日、京都市は38日でした。

全国の月平均気温の基準値からの差も7月は+1.91℃、8月は+2.16℃、9月は+2.66℃と過去最高値を示しました。

鍼灸の世界では、旧暦2月2日に据えるお灸を春の二日灸と言い、旧暦8月2日(今年は9月16日)に据えるのを秋の二日灸としています。

秋の二日灸は後の二日灸(のちのふつかきゅう)とも言われます。春は農作業が始まる時、

秋は収穫が始まる時で、特に暑い夏の消耗した体力を回復するためにお灸を据えたものでした。

二日灸は、普段のお灸の2倍の効果があり、病気にならずに災難から逃れて暮らすためのものとして施術されていました。

俳句では、松瀬青々(まつせ せいせい 1869-1937)が秋に因んで二日灸を詠んでいるものを見つけました。

下記句は、持病が悪くならないように二日灸をして、予防したのでしょう。

氏は大阪出身ですが、一時上京して正岡子規の主宰する「ホトトギス」の編集業務に就いていました。

その後故郷に戻り、関西俳人として活躍しました。

◎秋に泣くふるき病や二日灸

(あきになく ふるきやまいや ふつかきゅう)

猛暑が過ぎ、紅葉が色濃くなる時期、手の掌の感覚もやさしくなります。手洗いは感染予防の基本です。対峙する短歌を作ってみました。

◎秋日和朝な夕なに洗う手の掌に触れるは水さやかたる

(あきびより あさなゆうなに あらうての ひらにふれるは みずさやかたる)

2023(令和5)年10月

一幡 良利(いちまん よしとし)

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