「2025年(第19回)現代邦楽の父・宮城道雄の足跡をたどるバスツア―」ご報告
2026 年 01 月 21 日

去る2025年11月29日(土)、一般財団法人日本児童教育振興財団の御助成による「2025年(第19回)現代邦楽の父・宮城道雄の足跡をたどるバスツアー」を開催いたしました。当日は、さわやかな秋晴れに恵まれました。
ツアーでは、都内に点在する宮城道雄ゆかりの地(上野公園内不忍池辨天堂八橋検校顕彰碑の見学、谷中霊園宮城道雄の墓参り、神楽坂の赤城神社)を巡りながら、その半生を紐解いていきました。最終目的地である宮城が愛した街・新宿区神楽坂において、これまでの功績をたたえる講演会、演奏会、講談を織り交ぜたスペシャルイベントを開催し、盛沢山の1日でした。
参加されたNHKの杉田 淳様より、感想文をいただきましたので、ここにご報告させていただきます。
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今回、社会福祉法人桜雲会主催、一般財団法人日本児童教育振興財団協賛の記念バスツアー「生誕130周年 現代邦楽の父・宮城道雄の足跡をたどる」に視覚障害当事者として参加しました。朝の集合から解散まで、充実した一日を過ごすことができ、心から感謝しています。
最初に訪れた上野公園の不忍池は以前よく訪れていた場所でしたが、八橋検校顕彰碑の存在を初めて知り、邦楽の歴史の奥深さに思いを馳せることができました。
そして、谷中霊園で宮城道雄の墓に手を合わせ、邦楽界に革新をもたらした偉人の姿を身近に感じることができました。
昼食は風情のある神楽坂のお店で、贅沢な懐石をいただきました。食事中も参加者同士の交流があり、和やかな雰囲気で満腹になりました。移動距離やバスの停車ポイントなどを考慮しながら、事前に下見をされていたのではないかと推測しました。
午後の会場である赤城神社では宮司さんの温かい講話がありました。ガラス張りの施設は、私の目でも何となく確認することができ、おごそかな境内とモダンな造りの調和に感心しました。
スペシャルイベントでは、講演や講談、そしてソプラノ独唱と、宮城道雄の功績を多角的に紹介するプログラムが続きました。
今や日本の正月を象徴する「春の海」が実はとても斬新な曲として受け止められていたこと、宮城氏がいかに大衆的な人気を博した著名人であったかなどの千葉優子さんの講演は恥ずかしながら知らないことが多く、好奇心が大いに刺激されましたし、新進気鋭の宝井琴人さんの公団は堂々たる出来栄えで、宮城氏の等身大の姿をありありと想像することができました。
幼いころに宮城氏に対面していたという塩谷靖子さんのソプラノは情感がこもり、海の広さ、深さ、雄大さが胸に迫りました。寺山修司が語った通り、海を見に行きたくなりました。
何より、このツアー全体を通して感じたのは、幹事の方々のきめ細かな企画力です。移動や食事、イベントの進行に至るまで、参加者一人ひとりが快適に過ごせるよう心を尽くしてくださったことが伝わってきました。視覚障害者にとって、こうした配慮は単なるサービスではなく、安心して文化に触れられるための大切な架け橋と感じました。
また、私にとって大きな安心と楽しみを与えてくれたのは、バスで隣の席となった晴眼者の女性でした。日本点字図書館で長年勤務されていた方で、移動のサポートはもちろん、道中の会話がとても楽しく、音楽や歴史、グルメの話題で盛り上がりました。視覚情報が限られる私にとって、こうした言葉のやり取りは思い出に豊かな彩りを与えてくれました。
大変ありがとうございました。できましたらまた来年、参加したいと思います。(NHK 杉田淳)
