「鍼灸の世界 豊桜」(墨字版)通巻135号を発行しました。

2017 年 11 月 25 日

季刊誌 各1,512円 年間購読6,048円(点字版とは違う内容です。)

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第33巻4号 通巻135号

目次

■編集後記

☆ 坂本裕和先生の「経絡経穴とその周囲の形態学的構造物」シリーズが一区切りついたところでの終了となりました。最初は同僚として気楽に書いてもらえないかを打診したところ、快く引き受けてもらい、掲載がはじまりました。そして好評の中で、7年間の長きに亘り、計28回に及ぶ素晴らしいシリーズものとして掲載を完了することができました。心から感謝申し上げます。先生の高い研究能力と緻密な剖出技術を鍼灸の経絡経穴と繋げられ、鍼灸解剖学を新たな視点から探求されました。貴重な論文掲載のために費やされた時間は、計り知れないものでしたでしょう。心残りは、本雑誌は点字版が主となるために、墨字版にかける経費の余裕が少ないために、写真製版で印刷できなかったことをお詫び申し上げます。

今後は別の観点から先生の研究の一端を紹介させていただく予定にしていますので、読者の皆様は期待ください。

 

☆ 11月19日(日)桜雲会主催で「杉山和一と徳川綱吉の足跡をたどるバスツアー」と特別講演会を行いました。先ず、五代将軍綱吉公の祀られる上野の東叡山寛永寺へ行き御霊廟並びに根本中堂を参拝しました。その後、本所一つ目(現在の墨田区千歳)の江島杉山神社へ向かいました。社殿内では祝詞をあげてもらい玉串拝礼の儀式を済ませた後に、元禄文化と杉山和一の講演を聞くことができました。両国界隈で昼食を済ませた後に、特別講演会場の護国寺(文京区大塚)では秋景色の美しい境内を散策しました。護国寺は綱吉公の生母である桂昌院の願いを受け、建立されたものです。境内にある桂昌殿で特別講演会を開催し、講演とひとり語り並びに古典講談(田辺鶴遊)「杉山和一」を行いました。秋晴れのなかで、54名のバスツアー参加者の皆様は杉山和一と徳川綱吉漬けの一日を楽しまれました。

参加されなかった皆様には本号の「五大将軍徳川綱吉と杉山検校」(新子嘉規先生著)を読んで頂ければ、今回の企画の意図が理解されるものと思います。

 

☆ 11月13日(月)国立極地研究所は地球の歴史のうち、77万~12万6000年前を「チバニアン(千葉時代)」と名付ける申請をされていましたが、国際学会の一次審査を通過したことが報告されました。来年中には正式に決定されます。地質の年代に、日本にちなんだ名称が付くのは初めてです。46億年に及ぶ地球の歴史は、地層中の化石などから決められる地質年代で分けられています。茨城大学と極地研究所の共同チームは6月に千葉県市原市の地層が、年代の境界を示す代表的な地層の国際標準模式地にふさわしいとして、国際地質化学連合に申請されていました。市原市の地層は最も新しく起こった77万年前の磁場逆転(N極とS極が反転して入れ替わる現象)の跡がはっきり残っています。

国内の研究者が協力し、微生物の化石や火山灰を調べることで、地磁気の逆転した年代や環境を精密に割り出しました。世界的標準にふさわしいことを示す綿密なデータの裏付けにより、認められたものです。

 

☆ 11月1日(水)から3日(金)は「サイトワールド2017」が東京都墨田区のすみだ産業会館で開催されました。世界でも例を見ないイベントとしてはじまった視覚障害者向けのもので、もう十二回目となります。桜雲会主催の企画展では一日目が「盲教育の歴史を未来へとつなぐ」、二日目が「IOT技術時代に迎える2020年東京オリンピック・パラリンピック対応のテクノロジーの紹介」、三日目が「杉山和一検校と塙保己一検校を未来へとつなぐ」で講演会を開催しました。サイトワールドの参加者数は延べ3,900人で、そのなかの多数の方に講演会へ参加いただき、好評のうちに企画展を終了しました。

 

☆ 2016年の日本人の平均寿命は女性が87.14歳、男性が80.98歳となり、いずれも過去最高を更新したことを、厚生労働省が公表した簡易年表で分かりました。世界では女性、男性と共に香港に次ぐ2位となっています。ちなみに香港は女性87.34歳、男性は81.32歳と言いますから、驚きです。

2015年と比べると女性は0.15歳、男性は0.23歳のプラスとなり、5年連続の上昇が見られました。厚労省では「医療技術の進歩に加え、健康志向の高まりにより生活環境の改善が進んだことなどが影響している」としています。日本人の平均寿命は女性が1984年に80歳を超えていましたが、男性も2013年から80歳を超えています。

☆体調の変化が表れやすい、寒い季節を迎えるようになりました。二十四節気の中に「小寒(しょうかん)」と「大寒(だいかん)」があり、使われている字を見てもわかる通り、冬を表す季語です。2018年の場合、小寒は1月5日から19日、大寒は1月20から2月3日となっています。

世間では寒中にするお灸を、寒やいと/寒の灸(かんのきゅう)といいます。寒の灸は、冬に体を温めて血行を良くし、春に向けて気力、体力を養うという予防医学の習慣でしょう。この季節なぜか思い出されるのが、江戸時代の俳句の名人小林一茶の詠んだ句です。文政3年(1820年)の11月に出された八番日記からのものです。

 

◎     風の子や 裸で逃げる 寒の灸

(かぜのこや はだかでにげる かんのきゅう)

 

子ども好きの一茶ならではの、庶民の暮らしぶりをイメージさせるおもしろい句です。裸で逃げ出すほど元気な子供でも、多分、夜中に「おねしょ」(夜尿症)の癖があるのを連想させます。昔はどこの家庭でもよく見られた習慣でしたが、今となってはなぜか懐かしいものです。(一幡 良利)

 

 

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