点字図書のできるまで
ここでは、あまり知られていない点字図書の製作方法を紹介します。大まかな手順は以下のように、入力→校正→製版・印刷→丁合・製本となっています。
各工程をクリックすると詳しい説明が表示されます(順を追って見たい方は[開始]をクリックしてください)。
入力
墨字(一般の本)の内容を点字のデータとして入力します。主に文字情報をそのまま点字に訳します。表は形式化された加工方法や説明によって表し、図は点図や立体コピーなどで作成したり、説明で補います。最近はほとんどパソコンによる点訳が主流になっています。
手順
- パソコンに接続されたスキャナから、原本の文字情報を読み込みます(写真1)。
- ある程度のチェックをしてテキスト形式のファイルを作成します。
- 点訳ソフトで点字データに変換します。
- 点字編集ソフトを使って、マスあけやレイアウトを調整します(写真2)。
ページ数の少ないものや、原本の内容が複雑なものは点字編集ソフトで直接入力します。
校正
入力された内容が原本の内容と合っているか確かめます。点字を読む人と原本を確認する人の2人1組で、マスあけやレイアウトなどのチェックをします。通常、主に内容のチェックをする初校と、レイアウトなど全般をチェックする再校と、2回の校正を行います。
製版
写真1 2つ折りにした亜鉛版の写真
校正が終わって修正された点字データを点字自動製版機で亜鉛板に製版します。
手順
- 縦開きに2つ折りにしたB5版の亜鉛板(写真1)を自動製版機にセットします。
- おもて面が製版されたら、板を裏返して裏面を製版します(写真2・3・4)。
また、パソコンを使わずに原本から直接亜鉛板に製版する手製版という方法もあります(写真5)。この場合は、製版されたものを仮印刷して、校正を行った後本印刷に回します。
写真2 製版風景
写真3 製版中の製版機(原版が見える)
写真4 完成した原版の写真
写真5 手製版の写真
印刷
製版された亜鉛板を使って印刷します。2つ折りの亜鉛板の間に点字用紙を挟んで(写真6)、点字印刷機に通します(写真7)。ローラーの圧力によって、版に書かれた点字が紙に印刷されます(写真8)。
また、印刷する部数によって、亜鉛板に製版せずにパソコンから点字プリンタで印刷する方法もあります(写真8)。
丁合・製本
丁合は、印刷されたものの確認や、点図・((立体コピー))の挿入、表紙と中身の間に入る模様の挿入、表紙の裏紙として張り付ける白紙の挿入などを行います。製本では、丁済みのものの背にノリをつけ表紙を張り付けます。他の製本の仕方として、ノリを使わずに表紙で中身を包むようにしてホッチキスなどで留める方法なども行います。点字プリンタで印刷したものは、連続している用紙を切り放した後、専用バインダで製本します。
完成
このような工程を経て、いよいよ完成です。